CxOキャリアストーリー003
CxO キャリアサマリー
江尻 高宏 氏
株式会社シンカ 代表取締役
江尻氏: 私が起業を決意したのは大学時代、具体的には大学2年生の時でした。95年、Windows95がリリースされ、インターネットが一気に広がった時期です。私はもともとプログラミングが好きでパソコン単体で活用していたのですが、インターネットがつながったことで、世界中の人と繋がり、瞬時にやり取りができるという点に非常に魅力を感じました。これこそが日本を変える力になると確信し、ITを活用して日本を変えるビジネスを立ち上げようと決めました。その時から、起業家としての道を歩みたいと強く思うようになりました。
中川: サラリーマンとして社会に貢献する方法もあったと思いますが、それでも起業家を選ばれた理由は何ですか?
江尻氏: 私は幕末の志士たちに強い影響を受けていました。坂本龍馬のように、常識にとらわれず、自分の力で社会を変える人々に憧れていました。当時、政治家か起業家として日本を変えることを考えていましたが、インターネットとの出会いで、経済的に日本を変える方がインパクトが大きいと感じ、起業家の道を選んだのです。
江尻氏:私のサラリーマン時代の経験は、今の起業に大きく貢献しています。特に日本総研で学んだシステム開発や顧客志向の重要性、船井総研で得た中小企業の現場経験は、起業後に非常に役立っています。システムを作る際のセキュリティや顧客の要望に応える姿勢、中小企業経営の実情を理解することで、現実的なビジネスを展開するための基盤ができました。もし学生時代に起業していたら、こういった知識や経験が不足していたかもしれません。
中川: サラリーマンと起業、どちらも大きな違いがあったかと思いますが、特にギャップを感じた部分はありますか?
江尻氏: 最大のギャップは「お金」と「組織」です。経営者としてお金を管理する難しさは、サラリーマン時代には感じたことがありませんでした。資金繰りの厳しさやキャッシュフローの管理は、非常にシビアで、想像以上に大変でした。また、組織のマネジメントも難しく、サラリーマン時代は比較的に会社の枠にはまり、統制の取れた優秀な人たちと働いていたので、組織運営がスムーズでしたが、起業してみると、意欲的な人たちも入ってくる一方で、ベンチャー企業は大企業に比べて魅力が劣る部分もあり、適切なマネジメントができないと離職や組織がうまく機能しないことに気づきました。
江尻氏: 私が事業を始めるきっかけは、元々日本総研で経験したコールセンターのシステム開発プロジェクトでした。そこで、何億円もかけて開発したシステムの投資額が、効率化が進むことによりたった1年で回収されるという高い費用対効果の結果を見て、システムの力で業務の効率化が劇的に進むことを実感しました。その後、船井総研で中小企業の現場を見て、まだまだアナログな業務が多いことに気づき、ITを活用して効率化を進める必要性を感じました。この経験がビジネスの方向性を決め、起業を決意した原動力となったのです。
中川: すでにビジネスのアイデアが見つかっていたということですが、会社内でそのビジネスを進める選択肢は考えなかったのでしょうか?
江尻氏: 最初は会社内で子会社としてそのビジネスを展開する話もありましたが、やはり自分の名前で挑戦したいという気持ちが強くなり、独立を決めました。自分がどこまでできるのかを試したかったのです。子会社という選択肢も魅力的でしたが、最終的には自分の力でどこまでできるか挑戦したかったというのが大きな理由です。
江尻氏: 起業してからの最大の課題は、組織のマネジメントと資金繰りでした。特に、最初は会社自身がとても未熟だったため、 リファラル以外は自立した人材が集まりにくく、リーダーシップを発揮しても組織がうまく機能しないことが多かったです。そのため、何度も組織崩壊の危機を経験しました。また、お金の面でもキャッシュフローが常に圧迫されており、資金調達の難しさや資金の管理が非常に大変でした。こうした課題を乗り越えるためには、現実をしっかりと受け入れ、柔軟に対応することが重要だと感じています。
江尻氏: めちゃくちゃ嬉しかったですね。特に、今までやってきたことが間違っていなかったのだという自信になりました。これまでの苦労が報われたという気持ちもなかったわけではありませんが、過去のことを振り返ったということはほとんどなく、むしろ、これから見える新しい景色、あたらしい世界の中で、もっとビジネスを拡大させていこうという気持ちになりました。
同時に、ここまで諦めずに一緒についてきてくれた仲間たちへの感謝の気持ちと共に、このメンバーとなら、今後のハードな局面も乗り越えていけると確信を持て、とても頼もしく思えました。
これまでは自分のことを一番に考えていたように思います。
それがCEOを経験することで、ビジネスを通じて世界に貢献したい、世界の人々をハッピーにする役に立ちたいという思いが生まれ、自分自身にはミッションがあるのだと感じるようになりました。そういう思いから、様々な世界を見ようとする自身の行動力につながっていると思います。
江尻氏: 起業は非常に厳しく、思い通りにいかないことも多いですが、その分やりがいも大きいです。大事なのは、失敗を恐れずに挑戦し続けること。そして、現実的な視点を持ちながら、長期的なビジョンを描くことが成功への道だと思います。起業は一人で成し遂げるものではなく、仲間や周りの人々と協力しながら進んでいくものです。だからこそ、周りとの信頼関係を大切にして、共に成長していくことが大切だと思います。