「いつかは自分で何かやりたい」。そうぼんやり思ってはいたけれど、大学生の頃はまだ何も定まっていなかったと笑う郭氏。ところが社会に出ると、人との出会いや仕事の面白さを追いかけるうちに、気づけば上場企業のCxO(管理部門管掌→新規事業管掌)まで駆け上がっていたと言います。今は自分の会社を立ち上げ、複数の社外役員を務め、社会課題の解決にも関わる日々。そんな郭氏に“CxO人生のキャリアの楽しみ方”を聞きました。
「いつかは自分の好きなものに飛び込みたい」――根拠のない自信から始まったキャリア
- 就活時代の漠然とした想い
「めちゃくちゃ起業家気質というわけではなかった」という郭氏。けれど、三井物産を選んだのは「とにかくいろんなビジネスが見られそう」という動機だったそう。
「いつかは自分の好きなものに飛び込みたい。そんなイメージだけはありましたね。だからまずは幅広くビジネスを知ろうと思って、商社に行ったんです」
ベンチャーで沸き立った「アクションしてなんぼ」の世界
- きっかけは友人からの誘い
社会人6年目、スタートアップのトレンダーズにジョイン。初めはテレアポまで自分でやるなんて思ってもみなかったそうですが、意外にもそこに“面白さ”を発見したと言います。
- テレアポの仕事も「面白い!」
「商社時代は海外のお客さんが相手で、1年に1回程度しか商談しないこともあったんですよ。でもベンチャーに入ったら『会いたい!』と思ったら無限に電話できる。それが最初は新鮮でしたね。お客さんとのブレストもどんどん形にできる。そのスピード感が楽しかった」
上場前夜のドタバタと、CxOとしての成長
- 安定な売上をどう安定させる?
トレンダーズが上場した2012年。当時、郭氏はCxOとしてバックオフィスや新規事業の立ち上げを手掛けていました。企画提案型ビジネスゆえに月々の数字には波があり、上場基準を満たすためにみんなが神経を張り詰める日々。
「みんなで一致団結して売上を積み上げる必要があって、正直大変でした。でも、同じ目標に向かって走るあの緊張感は、いま振返っても貴重な経験でしたね」
--上場した瞬間の感想を聞かせてください。
「上場のセレモニーは、社会人生活の中でも特別な思い出です。一緒に頑張ってきたメンバーはもちろん、既に卒業していたメンバーも喜んでくれて。あの瞬間は本当に感慨深かったですね」
--CxOとして意識していたことはありますか?
「組織づくりで意識していたことは、スキマを埋める勇気。組織が拡大し、トップラインが伸びている状況では、期初に管掌を決めても、必ず隙間が出てきます。その隙間に飛び込んでいく勇気が必要だと考えていました。完璧な設計のまま進むことは、組織の広がりがないということですから」
なぜCxOを辞めて独立? 40歳で感じた「次のステージ」
--CxOを退任した経緯を教えてください。
- 後輩がグイグイ育っていた
CxOになってから8年、2020年に退任を決めた背景について、郭氏はこう語ります。
「ずっと就活の頃から『人生後半は自分で』という思いがあって、40歳で“今だ”ってスイッチが入ったのが1つ。もう1つはトレンダーズの社内で僕より優秀な後輩たちがしっかり育っていて、あとは任せられるなと。実際バトンタッチしてから会社はコロナ禍でも成長しているし、本当にいいタイミングでした」
「思い込みを断ち切り、可能性を解放する」――現在の活動
- 複数の社外取締役、コンサル、そして社会貢献
今は上場企業の監査役や社外取締役を務めるかたわら、コンサルティングファームの執行役員や自社での研修プログラム、さらには児童養護施設やアスリートのセカンドキャリア支援と幅広く活躍中。その軸は「人の思い込みを外すこと」。
「機会の不平等があると感じた一方で、『自分なんかダメだ』と思い込む人も多い。実はめちゃくちゃ優秀だったりするのに、自分では気づいていないんですよね。そういう固定観念を壊すサポートをしたいんです」
「違う角度の活動でいうと生成AIの定着支援にも力を入れています。きっかけは中国・アメリカの利用率が50%を超えているのに日本はわずか6%という総務省のデータを見たことと、以前から「緊急じゃないけど重要で夢中になれること」を会社の中でできれば大企業もベンチャーも化けると信じていたことです。法人もうちの業務では使えない、数か月前試した時微妙だった、去年情シスからNGくらった等。でも実際の業務を聞いてぼくが実演すると感動してくれます。感動は知的好奇心を呼びもっと使いたくなる。そういうムーブメントを起こせると考えています。」
幸せも会社の成長も、楽しんだ者勝ち
- 家族にも見せたい“仕事を楽しむ背中”
プライベートでも小さなお子さんがいる郭氏。仕事への向き合い方は家族への姿勢そのものでもあるようです。
「子どもって親が楽しんでいる姿を見て育ちますから。仕事で面白い人と出会って、新しいプロジェクトが生まれて、また面白い出会いがあって……そんな風に人生が繋がっていくのは最高だなと」
将来に迷っているCxOへ「とにかく面白そうな方へ進め!」
- キャリアは柔軟。50代、60代でアクセル全開でもいい
最後に、 キャリアに悩むCxOへメッセージをもらいました。
「昔と違って、50代・60代でもまったく新しいことに挑戦する人が増えてます。人生設計も仕事の形もどんどん変わってきてるんですよ。もし『やりたい』『面白そう』って思うなら、まず動いてみるのが大事。楽しそうに働く人の周りには、自然といいメンバーが集まってきますからね」
「楽しそうに働くことは最大のアピール」。まるで遊びのようにビジネスを楽しみながら、いつの間にか上場企業のトップ層にたどり着いた郭氏。その先には「思い込みを外し、可能性を解放する」という明確なビジョンがありました。周りを巻き込みながら、人生の後半戦をさらに加速させようとする姿からは、「年齢はただの数字」というメッセージが力強く伝わってきます。いまキャリアに迷う方には、ぜひ郭氏の“面白い”を追うスタイルが何かのヒントになるかもしれません。